和歌山市神前の神前遺跡発掘調査で発見された、鎌倉時代の水路と考えられる溝など弥生時代から江戸時代にかけての遺構や遺物を一般に公開する現地説明会が、今月(1月)28日開かれます。
神前遺跡では、道路の改良工事にともない、3年前から発掘調査が行われていて、第3次調査となる今回は、去年(23年)11月からおよそ2000平方メートルの調査を行っています。今回の調査では、弥生時代の水路とみられる溝や井戸、古墳時代の竪穴建物・掘立柱建物、鎌倉時代の水路と考えられる溝、それに室町時代から江戸時代の遺構などが発見されています。このうち、鎌倉時代の水路と考えられる溝は、およそ70メートル見つかっていますが、さらに続いているとみられます。安原盆地の開発にともない新たに開削された宮井用水である可能性が高く、これまで文献でしか把握されていなかった中世宮井用水の実態を示すものとみられています。さらに、この溝からは、平安時代末期から鎌倉時代にかけての土器や人骨なども出土しています。和歌山大学教育学部の海津一朗教授は、「和歌山平野全体を灌漑するとされる古代・中世の大規模用水・宮井用水の末流を検出したことによって、考古学的にも宮井用水の規模の大きさが裏付けられた。ぜひ、発掘調査で周囲の状況を明らかにしてほしい。」と話しています。現地説明会は、今月(1月)28日・土曜日、午前11時からと午後1時半からの2回、和歌山市神前の神前遺跡発掘調査地で開かれ、発掘を担当した和歌山県文化財センターの職員が説明します。参加は無料です。問い合わせは、和歌山県文化財センター 電話 073-471-6741 です。
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